June bride(2)............................
そんな訳で、拉致された佐伯柚流。
車の中でもムスッとしたまま、不快感をあらわに腕を組んでいる。
右脇の壬生は、ただ黙々と。
左脇の雲野は、佐伯の態度など気にせず車外の景色を眺め。
助手席のカスミはオロオロと心配な様子で後ろを見。
運転している真端は、楽しそうにその光景をミラーでたまに確認している。
沈黙を破ったのは、佐伯だった。
佐伯「なんの用だ、これは」
怒気を含めた声色に、カスミの冷や汗も更に増す。
カスミ「あっ、あの…ですね、」
雲野「オレが言い出した事じゃないからな。先に言っとくけど」
カスミ「えっと、皆でですね、その……」
佐伯「さっさと言え」
カスミ「スミマセン…!」
すっかりカスミは萎縮し。
真端「貴方が海外から戻ってきてお祝いしてないようだと、皆で黙ってパーティを用意したんですよ」
カスミ「…あ!」
真端「まぁ、貴方を思っての事です。付き合ってあげてください」
真端は、にっこり微笑む。
佐伯「……ふん」
その後。
|
壬生「ほう」
雲野「へぇ〜」
空木「いつも皮パンしか見た事なかったけど、美人は何着ても似合うわよね」
壬生「ああ、そうだな」
雲野「佐伯さん、綺麗だぜ」
佐伯「……だ、」
カスミ「佐伯さん、綺麗です〜(*^^*)」
空木「でも、しかめっつら止めないと化粧が落ちてしまうわ」
カスミ「ええと(^^;」
佐伯「なんだ、この茶番は!」
佐伯は椅子から勢い良く立ち上がった。
女の夢と言われるドレスを着てもなお男勝りな所作は変わらない。
佐伯「付き合ってられるか! 帰る!!」
ジョーカー「孫にも衣装ってこういう事ね」
みんな一斉に扉の方を振り向いた。
→次へ→
禁無断転載・right reserved.