June bride(3)............................











扉(と言っても和風)から現れたのは、お相手となるジョーカーである。

皆、驚いて目が真ん丸い。
空木「ジョーカー…??」
誠志郎「い、いやさ〜」
誠志郎は頭を掻き掻き。

雲野「アンタ、何でソレ着てるんだ?」
















ジョーカー「あら、だって。




あたし、こっちの方が似合うもの。」















ジョーカーはモデルのように皆の前でクルッと華麗に一回転した。
空木「誠志郎くん!!」
微妙に怒りの声色。
誠志郎「いや、気付かれててさ〜」
名城「どーしても着てくんないんだもん!」
ジョーカー「今更、男物なんて誰が着るもんですか」
空木「貴方の女装、ファッションじゃなかったの……?」
威張るジョーカーに、“頭が痛い”とばかりに溜め息をつく空木。

ジョーカー「だから、アンタ、いつまでもオトコが出来ないのよ」

空木「なっ……!!」
誠志郎「まーまー、どうどう、リコちゃん」
空木「私は馬じゃないわっ!!」
誠志郎「我慢してよ、リコちゃん。
 あの後、ジョーカーの働いてる店とジョーカーの知り合いの店まで行かされたんだぜ?俺ら」
名城「大変だったんだから!」
カスミ「そうだったの…?(^^;」
名城「そうなの。ドレスとベール調達してこないとバラすって脅すんだもん」


雲野「何を?」


名城「!! 雲野には関係ないのっ!!」
焦る名城。
ジョーカー「そう、ヒ・ミ・ツよv」

会話が途切れ、ふと佐伯の方を見ると。
ベールを既に取ってしまっていた。
溜め息をつく空木と苦笑するカスミ。
名城「あー!! なんで取っちゃうのよ〜!!」
黙らずに文句を口に出す名城。(あまつさえ、指でさす)
佐伯「……くだらん。」

ジョーカー「あら、くだらなくないわよ?」

驚いたのは、計画した当人達。
佐伯「お前も、この茶番を企てた仲間か…!」
ジョーカー「バカねぇ。今の話の流れでそんな筈ないデショ」
膝で窄まって裾フレアになっている歩きにくいスカートをもろともせずジョーカーは近づき、
ジョーカー「アンタ、傭兵なんだから。帰ってきた祝いなんでしょ?」
佐伯「バカはお前だ…」
睨みあう二人。
佐伯「祝いで、どうしたらドレスなんて案が出てくるんだ!!」
ジョーカー「そんなもの。アンタ、夢見た事なかったの? ウェディングドレス」
佐伯「ない」
ジョーカー「あの、付き合ってたカレシとやらとも??」
佐伯「……ない」
ジョーカー「馬鹿ねぇ、相変わらず。有るなら有るでいいのに。
いつ死ぬか分からない職業なアンタに女の夢を叶えてあげたかったこの子達のプレゼントよ」
佐伯「……」
ジョーカー「その模擬ウェディングの相手が、国内で仲の良いと思われているアタシ。
オトコモノなんて似合わないからイヤだけど」





カスミ「付き合ってるんじゃないんですか…??」




二人の会話をやぶったのは、恐る恐るといった様子のカスミ。
誠志郎「だよな。俺もそう思ってたぜ」
ジョーカー「アンタたち…」
名城「違ったの!?」
空木「佐伯さんは傭兵だし、付き合ってるなら休暇の今のがいいかなと思ったんだけど」
呆然としている発起人3人。
ジョーカーは溜め息をつく。
ジョーカー「付き合ってないわよっ! 何よ、誠志郎クン、騙したのね〜!?」
誠志郎「や〜、そっちのがジョーカーにはYESと言ってもらえるかなぁと」





佐伯「おい、ジョーカー」




佐伯はクイとジョーカーの襟元を引っ張ると、乱暴に唇を重ねた。





佐伯「こういう事をする仲は、付き合ってると言わないのか」
皆が見ているなか、白昼堂々の行為。
ジョーカー「アンタ、そういうシガラミ嫌うでしょ?」
佐伯「ああ、嫌いだ」
ジョーカー「ホラ」
佐伯「だけど、お前と居るのは悪くない」
ジョーカー「炊事洗濯、苦手だしねぇ、佐伯チャン」
佐伯「あれだけ上手いアンタが変なんだ」
ジョーカー「そんなの、ただのコツよ。
 たまに一緒に住んで、アンタ仕事しに海外に行って。時たま一緒のが楽よね」
佐伯「だろうな。たまにお前はムカつく」
ジョーカー「しっつれいね〜!」
佐伯「事実だ」
ジョーカー「でも、ま、アタシも佐伯ちゃんと居て居心地悪くないしね」
今度はジョーカーから、軽くチョンとキス。


ジョーカー「付き合っていると言って欲しいのかしら?」


佐伯「言え」












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